1999年5月
●99.05.01(土)
今日は漫画家・河内実加さんと、超サイト「大仏ぱらだいす」「仏罰ぱらだいす」で一部では圧倒的に有名な春香さんと一緒に、漫画も描いてしまう小説家・竹本健治氏の仕事場におじゃまする。実はてぃんか〜べる「十二国記」公演の時に初めてお会いしたときに「遊びに来て下さいね」と誘われており、以来1年半後にしてやっと約束が果たせたのである。竹本氏、3年かけて描いていた漫画がなんと今日脱稿(ほんとは明日)とのこと。ぎりぎりで少しだけベタ塗りのお手伝いができた。よかったよかった。

さすがに「匣の中の失楽」(マイフェイバリットである)や「閉じ箱」などハコモノの小説が多い竹本氏の仕事場、台所には大変怪しげな匣が(金庫?冷蔵庫?)。「人が2人くらい楽に入りそうですね」と言うと竹本氏「5人までは入りました」「‥‥‥」

そして今回のお手伝いの裏の目的であるヒミツの依頼(遠大な計画)をお願いし、快諾を頂く。よかったよかった。
●99.05.02(日)
今日は読書と映画で日が暮れる。まず牧野修氏の「MOUSE」読了。以前刊行時には子供が主人公ということで気が魅かれるも「ドラッグ・パンク」と帯にあったのでサイバー・パンクに手を出しかねていた私は読まずにいたのである。先日牧野氏の「屍の王」を読み大変面白かったので、こちらも読んでみることに。「屍の王」は、村上龍氏的なフリーキーな描写や現実と非現実の狭間のぐらぐら感が大好きな作品だった。蛇足ながら断っておくが、「村上龍的な」というのは客観的に「似ている」ということではなく、私が好きな「そういった」テイストを表すのに使っている表現であるというだけで、「ジェイコブズ・ラダー」的、でも「サイレント・ヒル」的、でもいいのである。ようするに私のツボということですな。

さてこの「MOUSE」、サイバー・パンクと同一視したのは私の早とちりであった。いや、サイバー・パンクであるとも言えるか。うーむ。結局私がサイバー・パンクをキライなのは邦訳が読みにくい海外SFがキライなのであって、物語の本質がキライなのではないのだった。ともかく面白かった。むさぼり読んだ。早川JA文庫としては「遅れてきた傑作」ということになるのだろうか。

ちょっと前の新本格ミステリブームのように、かつてSFというジャンルに元気があった時代、少なくとも私にとってはそうだった時代には、新本格における講談社ノヴェルズのように、早川JA文庫というのは一つのブランドとして有効に機能していた。堀晃氏、森下一仁氏、岬兄吾氏、神林長平氏、大原まり子氏など、知らない作家の作品でも安心して買え、そしてそれがハズレなく面白かった時機というのが、たしかにあったのである。その後個人的な読書傾向の変移もあって、早川JAを全て買う習慣がなくなってしまった頃に、この「MOUSE」は発売され、以来今日まで私は読んでいなかった。残念。

まずリズムが良い。というか私に合うのである。読んでいて、面白いような気はするのだけれどもリズムが合わない作家(もしくは小説)というのはあるものなのだが、これはちょうど逆。でなければちょうど今の自分の体調に合っていたという事かも。あとはキャラの立ち方もさることながら、ストーリーや設定に「センス・オブ・ワンダー」が感じられる。実験的な部分がちゃんと、そうではない部分と連結しているのでとてもわかりやすく、カッコイイのだ。また、欧米的なだけではないごった煮の世界観というのも、いとうせいこう氏の「ワールズ・エンド・ガーデン」なんかもそうだったが、この「MOUSE」でもいい感じになっている。アジアン・エキゾティカというか。

さて映画。「ジャッキー・ブラウン」タランティーノ監督作品は彫刻刀で削った木細工のような荒削りさが気に入っているので、今回も○。「陰謀のセオリー」メル・ギブソン主演作は「フォーエバー・ヤング」「顔のない天使」以来チェックしている。なかなかよかった。「ボルケーノ」地質学者と主人公の娘がキレイ(笑)。特に地質学者(笑)。何かと比較される「ダンテズ・ピーク」も面白かったが、私はこちらの方が好き。パニックものとしては圧巻でした。
●99.05.05(水)
昨日池袋の中古盤屋で買ってきたCD。「姫神」「姫神伝説」姫神せんせいしょん(懐かしくて)。「NIGHT HEAD soundtrack」(TV版。聴くとケガをする、という伝説も)。「HANDS」トム・グラント(フュージョン系キーボーディスト。ベスト盤)。「Nocturnal Playground」ラス・フリーマン(フュージョン系ギタリスト。知らないくらい昔の廃盤だったのでラッキー)。「角川映画メモリアル」(犬神家〜晴れときどき殺人の主題歌)。以上、散財である。おーこわ。さんさいおこわ。世間はゴールデンウィークで人出が多かったが、単に歩きにくいだけで私には何の関係もないのであった。

明日〆切のコンペがあり、なかなか調子が出なくて作れなかったのだが、夜外出からの帰り道に浮かんだメロディをいじっていたら一曲出来てしまった。出来るときは早いんだけどなぁ。それが通るかどうかは、また別の問題なのである。コンペはニガテだ。ふっふっふ何を言っているのかねこの才能溢れる私に不可能の文字はないのだまかせておきたまえややっ現れたな別人格貴様の好きにはさせんこの場合好きにさせた方がいい曲が出来るような気がするわそうじゃそうじゃ多数決とほほのほ。
●99.05.06(木)
六本木へコンペの納品のついでにほぼ必ず寄るのが六本木WAVE。今日も当然納品の帰りに寄ったのだが、先だって新宿で泣く泣く買わずにいたフィリップ・グラスの「フォトグラファー」が、セールでなんと800円引き(値札は1780円)。1000円以下で買えてしまった。いいことあるなぁ。ついでに現代音楽のコーナーで、フィリップ・グラスの曲をピアノソロで演奏しているARTURO STALTERIの「CIRCLES」を買う。この人の、前に買った「FLOWERS」では、坂本龍一氏の曲などもとりあげていた。

そのあとついふらふらと本屋にも立ち寄ってしまい、「webデザイン」(ジェフ・カールソン/トビー・マリーナ/グレン・フリスマン著)と「モーション・タイポグラフィ」(ジェフ・ベラントーニ/マット・ウールマン著)、そしてメフィスト5月増刊号を買う。しめて9500円(税別)。さんざーい。

そして、また歩きながら曲の構想を練る。今日からゲームの仕事にかかるのである。資料のビデオなどを見て、テーマ曲のラフスケッチを作る。おお仕事してるなぁでは私はかわりにゲームをしようファイアーエンブレム。人格は複数でも体はイッコなので同時に違うことは出来ないということが何故わからないのかしらぼくちゃんばかだら五月蝿い輩ぢゃ少しは仕事せい。
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●99.05.07(金)
今日は午前中医者に行き、午後から芝居の音楽の打ち合わせ。99年5月21日(金)〜25日(火)に池袋シアター・グリーンで上演される、劇団キャプテン・チンパンジー公演「ピノキオショー'99」のサウンドトラックである(制作記はじめました)。そのあと河内実加さんとチェシャさんと会って夕食。奥様メモの「いやですわ」がウケる。
●99.05.08(土)
今日も午前中医者に行き、レントゲンをとってもらう。胃癌、胃潰瘍の心配は全くないとのことで、一安心。胃と十二指腸がちょっと荒れているとのことで、もうしばらく自主的食事制限は続くのであった。

そのあと本屋で、喜国雅彦氏の「傷だらけの天使たち(正・続・完結)」文庫版、「日本一の男の魂1〜3」を購入。「月光の囁き」文庫版がまだ1巻しか出ておらず、続きが気になってしょうがないのだが、単行本がなかなか見つからせず、その中毒を緩和するためである。今頃になって読むのは遅すぎるとの批判もあるかと思うが、読んでいなかったものは仕方がない。遅れてきた出逢いに感謝、なのである。

ところが。ついに。とうとう。やっと。「月光の囁き」単行本を同じ本屋で発見。文庫1は単行本1とちょっとの内容なので、その続きである2〜6を購入。つごう全部で11冊だ。

かくしてその夜のうちに「月光の囁き 2〜6」をイッキ読み。じぃぃぃぃっくり堪能いたしました。そして自分はまだまだ甘いということがわかりました。真のフェティシズムというのはこういうことなのだ。みんな多面体なのだ。しかしいったい映画はどんな仕上がりなのだろう。そして現在は「続・傷天」まで読了。しばらくは仕事の合間(ホントだよ)は喜国漫画ということになりそうなのである。
●99.05.09(日)
かくて今日から「ピノキオショー99」の楽曲制作にかかっているのである(制作記を参照)。

喜国雅彦氏「傷だらけの天使たち(正・続・完結)」「日本一の男の魂1〜3」をあっという間に読了。今回はほんとに「仕事の合間」に読んでいたのだった。

私が一曲提供した「聖少女艦隊バージンフリート SONGS&SOUNDTRACKS」(5/28発売)だが、コナミのCP事業部ホームページで確認したところ、御大広井王子氏作詞、島本須美さん歌で、タイトルは「渚にて」なのであった(こういう情報が事前にわかることはほとんどないのだ)。はよ聴いてみたいものだ。
●99.05.12(水)
ここんとこ「ピノキオショー99」の楽曲制作でいとしこいしなのである(制作記を参照)。

でもギターマガジンの原稿も書かなくちゃいけないし、別のゲームの仕事のラフスケッチもぼちぼちなので、結構慌ただしい5月なのであった。5月のメイ。こうなったら往年の大女優と小踊りでもするか。小踊りヘップバーン。りきやんさんごめんなさい。
●99.05.13(木)
今日は明日の〆切に追われてギターマガジン用の原稿書き。月に一度のおつとめである。と思ったら昼前に頭痛。頭痛薬を飲んで3時間くらい寝、それから起きて続きを書く。なんだか〆切前はいつも頭痛だなぁ。

ここんとこ仕事の合間にやっているのは「チョコボの不思議なダンジョン2」である。前作に比べてストーリーが強化されている。本家チュンの「シレン」ほど厳しくもないので、ちょこっとプレイするのにちょうどよい。ストーリー部分が完了していないので現状では二度と行けないダンジョンもあるのだが、どうなるのだろう。今回もムービーは素晴らしい。音楽はさりげない(ちょっとものたりないくらい)のだが、シドのテーマは絶品。歌詞もないのに「シド!シド!」という声が聞こえてくるというのは、凄いことなのである。BGMとしてはちょっと濃いけど、この曲は気に入りました。そういえば「トルネコ2」がPSで出るそうな。楽しみじゃ。
●99.05.14(金)
今日はゲームの仕事の打ち合わせで高田馬場へ。ラフの〆切が早まってしまってひえーである。がんばらねば。がんばらねばとグァンタナメラは似ていると思うがどうか。なに知らないとな? オバサマのアイドル、フリオ・イグレシアスも歌っていた名曲じゃ。では、がんばらねばとカンパネルラは似ていると思うがどうか。めーてるー。

以下、翔文社編「魅惑の大女優オードリー・ヘプバーン 自らが語る隠された私生活 下巻」p126より抜粋。
「以前、映画の撮影で日本に二週間ほど滞在した折り、大変お世話になったご夫婦がおりまして、私の、日本を象徴する芸術を見たい、という希望を叶えて下さりました。(中略)それが、私が夫婦漫才を見た初めての体験だったのです。(中略)お二人は公的な夫婦ではなかったようでしたが、夫婦漫才を行う時はペアを組んでいました。奥様の方に「TUKKOMI」と「BOKE」を教わり、非公式ですがご主人と舞台に上がったこともあります。「YE」「YE」という、中世英語のような合いの手を打つ方でした(編注・彼女は「YE」を、イとエの中間の発音で表現していた)。(中略)その時につけていただいた芸名が、キョウ・ヘプバーンだったのです」
●99.05.15(土)
表紙ページにひみつのリンクを追加。ソースを見ないで探してみよう。
●99.05.16(日)
今日も一日「ピノキオショー99」の楽曲制作(制作記を参照)。
●99.05.18(火)
今日ピノ。
(今日も一日「ピノキオショー99」の楽曲制作(制作記を参照)。の略です)
●99.05.20(木)
今日ピノ。
(今日は一日「ピノキオショー99」のジャケット制作(制作記を参照)。の略です)

合間を縫ってギターマガジンの原稿と、とりかかりはじめたゲームの仕事。
●99.05.22〜23(土〜日)
昼「ピノキオショー'99」を見に行く。その後一旦帰って、夜の公演後役者、スタッフと飲みに行くが私は酒は飲まない何故って胃炎気味。体調はもう普段となんら変わりはないのだが、ちょっと体をいたわっている私。また崩れるといやだし。

その後遊さん(リカ役)、チャーリーさん(大門役)、啓さん(ミカエル役)、Sundaveさん(早乙女役)、坪田さん(作/座長)と、小屋で夜明かし。私は徒歩で帰れるのだが一仕事終わってやれやれなので同行。今回もいろいろ内情は大変だったらしい。で始発頃に帰宅、昼まで睡眠。

翌日は残務整理や、「ピノキオショー'99」制作中にご注文いただいたCDの製作。夕方、公演を見に行ってくれたチェシャさんと春香さんが帰りに寄る。公演は気に入って頂けたようで私も嬉しい。思わず涙したとのことで、さらに嬉しい。ちなみにCDの裏ジャケはチェシャさんにお借りしたデジカメにより撮影。使ってみるとたいへん面白いのだが、いかんせん購入資金がない。もしくは、先にシンセが欲しい(笑)。スターウォーズのクイックタイムムービーに歓喜し、鴎の玉子を食しながらフォトショップ談義に花が咲くのであった。
●99.05.27(木)
システムをのせたハードディスクが不調のため、本日の日記はお休みさせていただきます。またのご来店を心よりお待ちいたしております。一応明日新ハードディスクを購入予定。とほほ。
●99.05.28(金)
今日はとある企画の取材ロケでチェシャ猫さん、春香さんと大森へ。いずれ春香さんの少年回廊にコンテンツが増えることでしょう(春香さんの日記も参照)。

その帰りに秋葉原に寄り、不調だったハードディスクを買い換え、シンセRoland JV2080用の音色追加ボード(Orchestral 2)を購入。春香さんは悩んだあげくVAIO(目玉親父なノートパソ)をお買いになられました。すごいなぁ。

帰宅後ハードディスクの換装とシステムインストール(音楽ソフトの都合でうちは未だに7.6なのじゃ)。ハードディスク容量自体は500MBから1.2GBに増えたので、アプリケーションをすべてソコにぶちこみ、今まで使っていた2GBのアプリ置き場はデータ置き場にすることにする。

ついでに、多少不調もあったNetscape Communicatorを止め、Internet Explorerに変えた。あとでNetscape Navi.3.0はHPチェック用に再インストールしよう。
IEでは<SPACER>タグは有効ではなかったのか...。今気付いた。かなり多用しているが、どうしよう。うーむ。
そんなこんなで気づけばもう朝。Soundページと新しいコンテンツは明日か明後日に更新(新規設置)の予定です。刮目して待て。

会社の独身用アパートに住む住人全員が、いまかいまかと刮目して待っている寮というのはどうか。カツモク独身寮。
●99.05.29(土)
インストールしたInternet Explorer4.5が不調。おまけに、いままで使っていたNetscape Communicator 4.0も不調。困った困った。いきなりフリーズするのだ。シュワルツェネッガーみたいだと言いたいところだが、私はバットマンを見ていないので言わないのだ。

オフラインでは大丈夫なのだが、internetに接続するといきなり止まる。なんとか普通に使えるようにしたいと四苦八苦するも変わらず。おかげでぜんぜん更新ができん。困った困った。

というわけで、Soundsページのおくらだしはもう少しお待ち下さいまし。
●99.05.31(月)
ブラウザの不調はどうやらOpentransport関連のヴァージョンの問題だったようで、入れ替えたら治った。やれやれ。

というわけでSoundsページの更新も終了。ご感想、リクエストなどお待ちしてます。